第29回美濃和紙あかりアート展上位入賞作品

第29回美濃和紙あかりアート展

今年の上位入賞作品を写真とともに紹介します!

 

【一般部門】

〇美濃和紙あかりアート大賞〇

№157 加納 英香
作品名「ホシノヨミガエリ」
審査講評

優雅な空気感とともに、植物のような生命力を感じさせる存在感が目を引いた。ふんわりと折り畳まれることで生まれたボリューム感と、捻るという行為から生まれた有機的な表情が魅力的である。和紙と戯れる中で生まれたであろう表現が、和紙への愛を感じさせる。和紙が作り出す表情の多様さを再認識させてくれた高いオリジナリティが評価された。

 

 

 

〇美濃和紙あかりアート賞〇

№64 布目   尚弘・寺田   杏菜(大同大学)
作品名「升組」
審査講評

和紙を組み合わせ、非常に柔らかい造形を実現している。光源から放たれる光も造形に合わせた柔らかいグラデーションになっている。繊維を漉き込んだ紙の選択も良い。上部の中央の凹み部分や、角の折れ曲がる部分も美しく完成度の高い作品である。

 

 

 

 

〇美濃和紙あかりアート賞〇

№90 白石 未来
作品名「柔」
審査講評

優しいウェーブと和紙の契りの表情、ところどころ水滴のようにみえる穴状のすかし柄などに自然感があり、まるで呼吸をしている生き物のような温かい体温が感じられる作品。

 

〇ライトアップ賞〇
(古川秀昭賞)

№158 松島 康貴
作品名「粗密」
審査講評

周辺の様々な音をすべて吸収してしまいそうな形状を色彩・その吸収したすべてのものを今度は反対に中心部から放たれる光によって外部に美しく優しい影を生み出す。できれば和紙による更なる造形を追及してもらいたい。

 

〇ライトアップ賞〇
(堀木エリ子賞)

№8 村瀬 五郎
作品名「静寂」
審査講評

小さな木と、周囲をやきつけたちいさなわしによって構成された作品。焼き付けによる茶色の自然なアウトラインと少しずつ和紙を重ねた印影がバランスよく融合している。その奥にも全体的に和紙を貼ることで奥行き感が効果的に表現できている。

 

 

 

〇ライトアップ賞〇
(高橋理子賞)

№75 上田 真也(拓殖大学)
作品名「湧き上がる」
審査講評

目を引く存在感から受ける強さとは対照的に、透過した光がさまざまな色を生み、紙の薄さを感じさせる繊細さも持ち合わせている点が魅力的。物作りに向き合う熱量が感じられ、見ている側もポジティブな気持ちになる、すっきりとした明快な作品である。

 

 

 

 

〇ライトアップ賞〇
(柴﨑幸次賞)

№155 清水 祐作
作品名「ぬくも」
審査講評

この作者は、最小限の構造で紙を自立させる方法を探求し、灯りを制作している。多層に重ねた紙をダイナミックに折り込み、そこから漏れ放たれる光の陰影に深みがあり美しい。重なる和紙の断面も美濃和紙の美しさを感じる作品である。

 

 

 

 

❁一般部門 総評❁

世の中のコロナ禍にあって、今年も和紙とあかりによる美しい作品群に出会えてよかった。これほどまでに和紙と光の関係は豊かなのか、と審査員全員が驚きつつ審査に臨んだ。

大賞受賞作品は類似するいくつかの作品がある中で、実に本質的に和紙の特性を知り尽くしている強さがある。紙を安易に追ったり切ったりせず和紙の柔軟なあり様(ありさま)を大切にした表現が成功している。入選外の作品にも秀作があり、次回への新たな挑戦を期待する。

 

【小中学生部門】

〇小学生部門大賞〇

№652 藤吉 菜瑳
作品名「火の鳥」
審査講評

赤く燃える羽を大きくはばたかせ力強い姿の美しい火の鳥です。

細かな紙の重なりで風をはらんだふくらみをふんわりと描いて圧巻です。

 

 

 

 

 

〇中学生部門大賞〇

№626 蘇南中学校11A
作品名「夢への1歩」
審査講評

いろんな色和紙を切り絵にして組み合わせた、かろやかな作品で、遠くから見ると透明感のある氷のかたまりのようにも見えます。和紙を使った作品で、この様な透明感を表現するのは難しいのでよく工夫されていると思います。

 

 

 

 

〇小中学生部門賞〇
(橋田裕司賞)

№643 児山 恵亮
作品名「オオカミの遠吠え」
審査講評

単純化した形の組合せでオオカミを表現。力強さを感じさせる。作り方は張り子式の様だが、中に針金や竹といったものでなく、紐状のものを入れて表情や柄をつけている。

そして、光も全体に上手くまわるようになっていて、光源の位置もしっかり考えられている。アートとしてはもちろん、家で毎日使う照明にもなりそうです。

 

 

〇小中学生部門〇
(松井勅尚賞)

№601 みうらかの
作品名「わたしのお家のお庭」
審査講評

二つのアーチを作り、和紙を糸で結ぶシンプルな技法であるが、繋ぐ手法として糸を使ったところが新鮮であり、日本の衣の文化を感じた。小学校で学んだであろう押花の技法によって庭の草花の記憶を「あかり」として留めた作品で、押花の透明感がまた美しい。庭という身近な日常の暮らしの中にも幸せがあることを、改めて思い出させて頂いたことに感謝します。

 

 

 

〇小中学生部門賞〇
(日比野光希子賞)

№624 宮西 麟
作品名「おっとっと」
審査講評

表情があって楽しい作品です。「おっとっと」というタイトルをみて何かな?と猫ちゃんのお手ての先をよく見ると、お魚が!!一生懸命つかまえている!!まっすぐな手と足を猫ちゃんは柔らかな光につつまれて、のびのびして気になる存在になってくれました。

 

 

 

 

〇小中学生部門賞〇

№615 佐藤 暖真
作品名「カナヘビ誕生!!」
審査講評

緑の中、卵からかえったばかりのカナヘビをのびのびと思いのたけをぶつけて描いてくれています。お口をうんと開けて、あやしい舌をペロリと出して、あかりのパワーで元気なカナヘビがイキイキしています。

 

 

 

 

 

〇小中学生部門賞〇

№668 後藤 実付
作品名「秋の灯り」
審査講評

季節感を感じる灯りで、造形的にもすばらしいと思います。木の根元に光源を入れているので、モミジの葉っぱのシルエットが協調されていて、品の良さを感じます。盆栽をイメージさせますね。

 

 

 

 

 

❁小中学生部門 総評❁

このコロナ禍、気候変動による異常気象や、ウクライナ危機など,小中学生たちにも負の情報の嵐を無視できない中で、どのような作品が出てくるのか?そもそも創作という選択をしてくれるのか?不安でありましたが、前年度をはるかに上回る多くの出品をして頂きとても嬉しい限りです。

創作のエネルギーは、平和の力だと思います。

会場に灯る多くのあかりを見て、心に希望の光を実感した審査でありました。

皆さんにも様々な希望と癒しのあかりを体感して頂ければ幸いです。